9/16(日) 末続地区で、これまで個人積算計を付けて下さった方を対象に、お話会を開催しました。
会場は、地区内の住民の方のご自宅を使わせていただき、参加者8名、放射線防護と医療放射線科の先生をお迎えしました。
住民の方には、事前に、それぞれの個人積算線量計の計測値をグラフ化したものをお渡しし、現在の状況での、一日平均値や年間被曝線量推測値をお伝えしてありました。
まず、個人積算線量計をつけ、自分自身の結果を見て、どのように感じたか、という感想を順に話していただきました。
付けられた感想は、
「思っていたよりも、少なかった。」(空間線量率/h×24hよりも少ない)
「自分自身の数値がわかって、〈安心〉した。」
というものが多かったです。
参加者の皆さんに確認しましたが、ここでの〈安心〉というのは、気にしなくてよくなったと言う意味の〈安心〉ではなく、自分自身の状況が明確になり、どの程度気にすればいいのか、判断する取っかかりができた、という意味だ、とのことでした。
まずは、ぼんやりとした不安を抱えて暮らしている自分自身の状況を把握することができた、という意味での〈安心〉なのだと思います。
そのため、〈安心〉と同時に、
「数値化されることで、逆に数値が気になって、心配になった。」
という感想も同様にお持ちでした。
自分自身の積算値を把握した結果、自発的に、なんらかの被曝量減少のための行動を取られていた方も、ほとんどでした。
外仕事の時間を控える、空間線量計で自宅周辺を計測し、高い所には近づかないようにする、時間を短くする、近隣でのより低い場所で過ごす時間を長くする、等です。
ここで、専門家の先生を交え、ざっくばらんに話をしていただきました。
・個々のこうしたしっかりとした計測値があることは、とても大切
・科学的知見、医学的知見による評価
・個々が取った被曝量回避のための行動について、それが妥当であるかどうかは、自分自身が「納得」できているかどうかが、重要。また、人によって「納得」の仕方は違うから、その事は、尊重しあうことも大切
・自分自身の行動を制限する場合、行動前後の積算値を確認して、行動そのもの被曝量を把握し、行動に伴う被曝量と行動を制限することの自分の納得度を比較してみることも大切。
皆さん、生活圏を共有するご近所さん同士の参加者だったため、自発的に、それぞれの状況を知り、情報を交換することができ、そのことも、とてもよかったようように感じられました。
農業をされている方からは、現在の出荷時の検査態勢の説明などもあり、また県外に滞在中に付けていた方の情報を知るなど、「生きた」情報交換ができました。
そして、お話会の最後に、これからどうしていきたいか、おひとりずつ話していただきました。
皆さん、共通していたのは、ここでの暮らしが大好きだ、ということでした。
震災前にそうしていたように、遠くにいる友人や家族、親戚に、胸を張って「いいところだから、遊びにおいでよ」と言えるようになりたい、と言う声には、皆さん、大きく頷かれていました。
そのためには、どうしていけばいいだろう、と問いかけに対しては、以下のような声をいただきました。
・自分自身のことは、自分でしっかりと理解して、把握する。
・自分にできることは、自分でもやってみる。
・そのことを、他の人にも伝えたい
上記のような、とても前向きな意見がでました。
また、こういうお茶を飲みながら、情報交換するお話会をしましょう、と言うと、満場一致で賛成でした。
専門家の先生からは、
・自分自身のことを把握すること、特に個人積算量を把握することは、とても大切。ぜひ続けて下さい。
・現在の放射線量がずっと続くわけではない。時間を長く取って考えてみることも大切なのではないか。
・自分自身で家周りの草を刈るなど、できることをするのもよいと思う。(被災者である住民の方に、させるのはどうか、との思いは自分もあるが。)
との声をいただきました。
住民の方のご自宅を会場に使わせていただいたこともあって、お茶とお菓子をいただきながら、終始、和気藹々と和やかな雰囲気で進みました。
とても印象的だったのは、個人的にお話していたときは、表情が固く、あまり前向きなことを仰らなかった方が、会の終わり頃から、笑顔を見せ、ここでの暮らしが好きなんだ、と言われたことです。
帰り際には、こういう集まりとは思わなかったと感想を言われていました。
椅子を並べて、講師の先生のお話を聞く集まりだと思われていたそうです。
また、今年のお盆には、お孫さんに遊びにおいで、と、ご自分から言って、遊びに来てくれた、と話して下さる方が複数いらっしゃいました。
そのうち、お二方は、6月のロシャールさんを招いてのお話会の時に、ロシャールさんが「どうするか決めるのは、あなた自身だ」と言われたことに、勇気をもらったとのことでした。
私の個人的印象ですが、とても前向きなよい集まりになったと思います。
その理由のひとつめに、住民の方自身の個人積算線量計の実測値があったこと。
これが、空間線量率のみ、あるいは、推測値だけだと、ここまでしっかりとした話はできなかったと思います。
ふたつめに、顔見知りのご近所の方達に集まっていただけたこと。
みっつめに、専門家の方にも、輪の中に入っていただく形で、ひとりの人間として向き合っていただけたこと。
よっつめに、参加者の皆さんが、ここでの暮らしが好きなこと。
今後も、こうした小さなお茶会スタイルのお話会を続けていきたいと思います。
[支出]
飲食代 5,822円(飲料次回持ち越し含む)
土産代 800円
雑費 167円
交通費(講師) 38,580円
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合計 45,369円