2012年7月5日木曜日

「エートス(実用的放射線防護文化)の構築にむけて」

以下の文章を、「保健物理」47巻2号 に寄稿いたしました。



掲載誌が、「保健物理」という事でしたので、専門家の方たちにお読みいただく事を想定した内容となっております。

《はじめに》

 福島第一原発事故の発生以降、福島県内の状況は一変した。だが、こういう言い方もまた語弊があるかもしれない。住み慣れた環境から追われることとなった警戒区域、計画的避難区域等を除けば、ほとんどの地域において、地震・津波の甚大な被害を受けた地域はあるものの、震災前と同じような日常生活が営まれているからだ。

 ただひとつ大きく異なるのは、一見、それまでと変わらぬ日常の細部に至るまで、放射線、放射性物質の影響が抜き差しならないものとして入り込んできている、ということである。メディアを通じて語られる放射線の影響は、ほぼ健康問題に終始する。しかし、福島県の一住民である私からみれば、健康問題は、拡散した放射性物質のもたらした甚大な影響のごく一部にすぎない。放射線、放射性物質は、物質的にはごく微量しか存在しない場合でも、影響は日常のごく些細な部分まで入り込んでいる。それは、生活様式のみならず、住民心理、対人関係、そして地域コミュニティ、社会に至るまで、大きな影響を及ぼす事態となっている。

 こうした広範な影響への対処策は、「その環境で暮らす住民自身が主体となる形での放射線防護態勢を作り上げることしかない」、というのが私の考えである。ここでは私が福島県いわき市で主催した放射線勉強会、住民交流会を通じた、住民主体型の放射線防護の取り組みについて紹介したい。


 以下、下記リンク先。

エートス(実用的放射線防護文化)の構築にむけて ― ICRP勧告111に基づいた自助による放射線防護 (
保健物理47巻2号、2012、pp.102-107
Establishing ETHOS (practical radiation protection culture) - Self-Help Protection based on ICRP pub 111

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